FXの相場分析において、有名なテクニカル指標のひとつに移動平均線があります。
ポピュラーかつ基本的なテクニカル指標でトレンドの方向性を見るのに適しています。
こちらでは移動平均線についての解説やFXトレード手法のやり方について紹介いたします。
移動平均線とは
移動平均線とは、為替レートの過去一定期間の終値平均値を割り出し、その値を線で結んだものです。
平均値は日が経つにつれて移動していきますので、移動平均と呼ばれています。
移動平均線でFX相場のトレンドを把握する
移動平均線が右上がりで、現値がその上にあれば上昇トレンド、移動平均線が下向きで現値がその下にあれば、下降トレンドと捉えることができます。
乖離に注意する
相場が加熱しすぎて買われすぎ、売られすぎとなった時は、一転して逆行されることがあるので注意が必要です。
移動平均線の期間について
移動平均線は短期線、中期線、長期線に分けることができます。
- 短期線:5期間移動平均線(5日分の平均価格)
- 中期線:25期間移動平均線(25日分の平均価格)
- 長期線:75期間移動平均線(75日分の平均価格)
短期線、中期線、長期線の移動平均線を単一チャート上に同時表示させる事で、相場におけるトレンドをより詳しく把握できます。
移動平均線の種類
移動平均線には数多くの種類があります。FXテクニカル分析ではよく活用される種類から、少し変わった特殊なものまで非常にバリエーションに富んでいます。
FXテクニカル分析でよく活用される移動平均線は以下のものがあります。
- 単純移動平均線(SMA)
- 指数平滑移動平均線(EMA)
- 加重移動平均線(WMA)
単純移動平均線(SMA)
単純移動平均線(Simple Moving Average)は単純に過去の為替レートの一定期間終値平均値を算出し、その値を線で結んだものです。SMAと略されることもあります。
現値に対し反応が遅く、ゴールデンクロスやデッドクロスなどの売買判断時には、タイムラグが生じることもあります。
指数平滑移動平均線(EMA)
指数平滑移動平均線(Exponential Moving Average)は単純移動平均線より、直近の値に比重を置いて平均値を算出しているため、現値に素早く反応する性質があります。
トレンド転換をいち早く察知できるため、ゴールデンクロスやデッドクロスでの売買判断は、単純移動平均線より指数平滑移動平均線の方が適しています。
ただし反応が早すぎるため、もみ合いのレンジ相場ではダマシのエントリーシグナルが多発してしまいます。
オシレーター系テクニカル指標の考え方と共通している
RSIやMACDなどのオシレーター系テクニカル指標の多くは、指数平滑移動平均線の考え方が使われています。
加重移動平均線(WMA)
加重移動平均線(Weighted Moving Average)は、上述の指数平滑移動平均線同様、単純移動平均線よりも直近の値に比重をおいた移動平均線です。
加重移動平均線の場合は更に、過去に向けて価格の比重を徐々に小さくしていく算出方法で割り出されます。相場にトレンドが出ている時はよく機能する移動平均線です。
指数平滑移動平均同様、現値に敏感に反応してしまう性質があるため、もみ合いのレンジ相場においては、ゴールデンクロスやデッドクロスでの売買判断は、ほぼダマシとなってしまいます。
移動平均線の種類(変わり種マイナー移動平均線)
少し変わったマイナーな移動平均線もあります。単純移動平均線や指数平滑移動平均線にアレンジが加えられた特殊なものです。
FXトレードをする際に売買タイミングをはかったり、トレンドを把握したりするテクニカル指標として、活用されることがあります。
T3移動平均線
T3移動平均線(T3 Moving Average)は、3重指数平滑移動平均線と呼ばれ、指数移動平均線を3回平滑化したものです。
緩やかな曲線を描くのが特徴で、大局的なトレンドを把握する為に活用するのが理想的です。
直近のトレンドを把握するテクニカル指標としては適していません。
複合型移動平均線(GMMA)
複合型移動平均線はDaryl Guppy氏が開発し、GMMA(Guppy Multi Moving Average)と名付けられました。
GMMAはグッピーのマルチ移動平均線という意味で、先頭に自分の名前を入れています。
大きな特徴は、トレンドが出ている方向をひと目で確認できることです。単純移動平均線や指数平滑移動平均線同様、押し目買いや戻り売り、利益確定のタイミングをはかる目的で使われます。
複合型移動平均線(GMMA)は単一移動平均線を複数集めたもの
複合型移動平均線(GMMA)は、違う期間の移動平均線を複数組み合わせたもので、視覚的に相場の方向性を把握できます。
使用する移動平均線は指数平滑移動平均線(EMA)で、さらに短期線と長期線にそれぞれ分けます。
- GMMA短期線:3・5・8・10・12・15各期間の指数平滑移動平均線(EMA)6本の組み合わせ
- GMMA長期線:30・35・40・45・50・60各期間の指数平滑移動平均線(EMA)6本の組み合わせ
合計12本の指数平滑移動平均線(EMA)を使用したテクニカル指標です。
FXトレードにおける移動平均線の最適な設定値
FXトレード戦略に応じて、移動平均線を最適な設定値にします。
日足トレードをメインとする場合
日足トレードをメインとする場合、最適な移動平均線の期間は、5、25、75、200です。
それぞれの期間には次の意味があります。
- 5期間:銀行、証券会社における5営業日
- 25期間:銀行、証券会社における約1ヶ月の区切り
- 75期間:銀行、証券会社における約3ヶ月の区切り
- ※200期間:グランビルの法則が適合する期間
※グランビルの法則は、考案者のグランビルが使用していた200日移動平均線を想定したものです。このため、200日の移動平均線を用いた分析で当てはめるのが基本です。
200期間の移動平均線は多くのプロ投資家も注目しているラインです。
そのため200期間の移動平均線で値が止まったり、急に動意づいたりすることがよくあります。
週足トレードをメインとする場合
週足トレードをメインとする場合は、以下の設定値が最適です。
- 短期線:13週分で3ヶ月に設定
- 中期線:26週間分で半年に設定
- 長期線:52週間分で1年に設定
移動平均線のゴールデンクロスとデッドクロス
移動平均線のゴールデンクロスとデッドクロスはとても有名なエントリーパターンです。
ゴールデンクロスは買い、デッドクロスは売りのエントリーパターンとして知られています。
- ゴールデンクロス:中期線や長期線を短期線が下から上に抜けたタイミング
- デッドクロス:中期線や長期線を上から下に抜けたタイミング
ゴールデンクロス
デッドクロス
ゴールデンクロスもデッドクロスも売買するタイミングとして、FXトレード手法のひとつとして認識されています。
しかしながら、これらの売買判断の弱点としてよく遅効性が指摘されます。移動平均線をはじめテクニカル指標は、過去の平均値を算出しているものです。
そのため、ゴールデンクロスやデッドクロスを基準とした売買判断の場合、エントリータイミングとして若干の遅れが生じてしまいます。
買いの売買判断で買ったあとすぐ売られて逆行する、売りの売買判断で売ったあとすぐ買われて逆行する、という現象が起こります。
そのため、ゴールデンクロス、デッドクロスは売買タイミングとして見るよりも、相場の方向性を確認するためのサインとして見た方がよいのです。
移動平均線を活用したFXトレード手法
移動平均線は使い方しだいで、最適な売買タイミングを図れます。それが押し目買いと戻り売りです。
売買判断で使用される頻度が高い移動平均線は、主に20期間、21期間、25期間です。FXトレード手法説明では20期間の移動平均線を使用して説明します。
世界各国の銀行をはじめ証券会社などは月ごとに営業日が違うため、これらの期間に差があります。しかし、基本的にどの期間の移動平均線を選択しても大きな違いはありません。
FX押し目買い
20期間の移動平均線が右上がりで現値がその上にあるときに買いエントリーを考えます。
大まかなタイミングとしては、ローソク足が20期間の移動平均線に到達したときです。
FX戻り売り
20期間の移動平均線が右下がりで現値がその下にあるときに売りエントリーを考えます。
大まかなタイミングとしては、ローソク足が20期間の移動平均線に到達したときです。
移動平均線を活用したFXスイングトレードとは
移動平均線を活用したFXスイングトレードはトレンドの出ている方向に沿ってポジションを保有し、大きく利益を取っていくFXトレード手法です。トレンドの流れ逆らわず安定して利益を出せます。
FXスイングトレードとは
FXスイングトレードとは2日、3日から、長いときは数週間ポジションを保有するFXトレードスタイルです。
FXスイングトレードは信頼性の高いFXトレード手法
FXスイングトレードは比較的短期のFXトレードに分類されていながらも、テクニカル分析的に十分な情報量があります。そのためバランスの取れた信頼性の高いFXトレードスタイルとなります。
詳しくは下記をクリック!
移動平均線を活用したFX順張り手法の極み!環境認識も取り入れた4時間足王道トレード手法でトレンドを根こそぎゲットする!
まとめ
移動平均線はとてもシンプルですが、非常に優れたテクニカル指標です。トレンドの方向性が把握できるうえ、売買タイミングもはかれます。
FXトレードの手法がわからない、FXトレードの成績が伸び悩んでいる、という人は一度移動平均線だけでFXトレードを行ってみるのもひとつの手です。